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マルレーベル 感想12/3

前書き

所々厳しい感想を書きますが、演劇を初めて10年も経っていない若僧の独断と偏見で書いていることをご承知の上で読まれて下さい。逆に、この感想に対して意見や批判等があれば各々Twitterやブログ等で発信して頂きたいですし、是非それを拝読したいです。基本的にはロクコレを通して、参加団体の方々が演劇に意欲を持って、福岡演劇界が盛り上がる事を期待しています。

公演について

【公演名】

『る?』

染矢は3公演目 12月3日 19時の会を観劇。

場所はぽんプラザホール。60席くらいの劇場。(当日は半分くらいの埋まり具合でした)

1演目、60分の公演。

「る?」の取り組み

通常であれば先に脚本を書いて役を割り振るのに対して、今回のマルレーベルの公演「る?」では、募集で集まった役者との演劇ワークで生まれたやり取りから抜粋して作品として構成されているようだった。それを受けてか、公演は5〜10分程度の短編をつなげたオムニバス形式だった。コント調のものが多かったが、言葉を使わないコンテンポラリーダンスみたいなものも突然挿入されていて、明確な起承転結みたいなものはなかった。

役者の素材を活かす

通常のお芝居が、「回らないお寿司屋さんのコース料理」と例えるのなら、この公演は「船に乗って釣った魚を船上で捌いて食べる」みたいな、そういう感覚。

役者の個性の良さが存分に活かされてるだけでなく、演劇のコミュニケーション(言葉だけでなく身体を使った会話、ダンスや歌もあった)がふんだんに散りばめられていて、そのやり取りや空気感はとても充実していた。役者が演劇のワークで発したものを脚本として書き出している為か、コミュニケーションも自然で、演劇特有の嫌なお芝居感・段取り感も殆どなかった。代表の加茂さんが、役者の素材を生かして面白いものを作ろうという試みは、大よそ成功しているように思う。

脚本のない舞台

一方では、物足りなさもあった。船上で釣れた魚が、「さんま、穴子、イカ、さんま、赤貝、さんま」だったらどうだろうか。

「さんま、何回も釣れるな。何が来るか分からないのは面白いけど、やっぱりちゃんと寿司屋のコース料理の方が美味しいだろうな…。」と思うだろう。

 

今回の公演では、そんな感じで短編同士の関連性が感じられなかった。最後のシーンも、突然、役者達が空を見上げて、「いい景色だね」と言い合うものだったが、どんな景色かは言わないし、そのシーンまでの短編にも繋がりが感じられない。

脚本やテーマを考えない前提でやっているのだからしょうがない、描かなかった景色は観客の想像で補完するものだ、と言われればそれまでだが、そういったものを舞台として、作品として、観客に出すのはどうなのだろうか。

もっと言えば、今回の公演では、照明や音響のしっかり備わった「劇場」で出す必然性は無かったのではないかと思う。逆に、どこかの練習場でこれと同じ演劇をやっていたとしても、この公演の評価はあまり変わらないと思う。

総括

僕は、お寿司屋さんに行くのなら板前としての腕を見たい。劇場に観に行くのなら、加茂さんには作演として舞台で出来る事をやって欲しい。ただ、今回、出演された役者達がどういう性質か分かったのは良い収穫だと思う。なので、それを受けて、上手く料理されたものを観てみたい。

個人的には、自分達が「存在している」ことだけを確認し合って幸せに浸っている宗教じみたサークルのコントは面白かったし、そのサークル内での「猫は存在するか架空のものか」という議論がまたまた面白かったので、そこらへんの発想を深掘りして、妄想を広げて長編にしても良いのではないかとも思う。

 

今後のマルレーベルに期待。